雑誌スピン。
ここに、手に入りにくいが
名著を紹介する
「絶版本書店」なるコーナーが
あります。
各人肝いりの一冊が選ばれているので
毎号とても面白いのです。
初号で紹介された
有吉佐和子
「女ふたりのニューギニア」は
みごと今年になって文庫復刊しました。
女二人のニューギニア、絶版本書店
個人的にも注目コーナーなのですが
皆川博子が最新号の
「絶版本書店」で
再び真継伸彦の「鮫」を
紹介しています。
再び、というのは
2019年にも書籍「彗星図書館」で
この作品を取り上げているから。
皆川博子も
これが復刊することはないだろうと
断言しながらも、こうして
取り上げるのは、「非人」という出自で
辛酸を嘗めながら成長する人間の物語を
歴史から消してしまってはいけない、と
強く思うからなのですよね。
非人と呼ばれるような人が
存在する世の中は、確かに
間違っているけれど
現実に存在した人たちの苦しみに
蓋をするな、ということです。
女中として休日もなく
使われ続けた「ねえや」も同様だと
皆川博子は主張します。
「彗星図書館」では
非人の物語を書いた
真継伸彦ら、作家を育てた
昭和の名編集者、坂本一亀についても
詳しく書いており、非常に
興味深いのですが、この「ワンカメさん」と
呼ばれた名高い編集者は
先日惜しまれながら亡くなった
坂本龍一氏の父です。
YMOのジャケットを見て
芸大出て道化になったのかと
吐き捨てたそうなので、音楽には
さして興味がなかったのかどうか
分かりませんが、彼に
導かれた小説家は
野間宏、武田泰淳、埴谷雄高・・・
壮観!
皆川博子は私の世界を
広げてくれる人なのです。
DJ KAZURU
[…] 絶版本を追いかけて […]
Add A Comment