「プリズンサークル」
坂上香 著、拝読。
日本の服役者のうち
千人に一人くらいしか選ばれないそうですが
作業中心ではなく
受刑者が輪になって話し合うことが
中心の刑務所があるそうです。
そこでの取材を映画にした人が
著者なのですが、こういうところが
ある事自体驚きなのに
中に入ってインタビューしてきた人まで
いるんですね。
島根と広島の間くらいにある
その施設は、けして脱獄できない
厳しいシステムに守られながらも
個室が与えられ
自由に談笑できる時間も多く
本当に日本の刑務所の話かな?
と思うような環境です。
なんのために
主体的な話し合いをさせるかというと
感情を育てるためだそうです。
窃盗、強盗、強姦などで
服役する彼らは基本暴力にさらされて育ったため
人間らしい感情や共感力が
乏しいそう。
ここにいる人たちは
家庭の中で暴力を受けてきて
そこで死ななかったサバイバーだ、という
見解もあって
ある種彼らは周囲の環境のせいで
犯罪者になるしかなかったんですね。
生まれたときからの犯罪者などいなくて
社会が犯罪を生むんだな、と
改めて考えさせられます。
驚いたのは
自分が行った行為が
明らかに暴力なのに、自覚できない人や
手の甲が痛いなー、と思ってたら
嫁が頬にガーゼしてて、あ、自分が殴ったのか
と気がついたなんていうエピソードも
出てきたことです。
なにか大事なものが欠落している。
そんな彼らも話し合いを重ねるうちに
涙を流したり、徐々に人間らしく
変わるのですが、そのまま社会に出て
順調というケースばかりではなく
難しいですね。
ただ、犯罪者に刑罰を与えても
世の中は変わらないのだから
別のやり方で彼らを矯正していこうという
流れがあることは確かです。
日本も意外と進んでますよ。
DJ KAZURU
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