マイテ・ガルシアによる
プリンス回顧録が滅法面白かったのです。

プリンスの隣で踊るマイテが
好きだったのは1990年くらいからだったかな。

ひと目見て
なんて魅力的で、プリンスの世界観に
あった人なんだろうって思いました。

プリンスの側に立つには
これ以上無いくらいの背格好で
ダンスが素晴らしかった。
黒髪の小悪魔だったけど
明らかな白人でも黒人でもなかった。

これを読んで
彼女の両親がプエルトリコ系で
幼い時からベリーダンスが上手で
地元じゃ有名になり
テレビにも出演、音楽は
ルイスミゲルにぞっこんな少女だったと
初めて出自を知りました。

アル・パチーノの映画なんかでも
よくでてくるけど
こういう容貌の人たちは
黒人社会からは髪がまっすぐだと締め出され、
白人からは当たり前に差別され
アメリカ合衆国では生きてるだけで
大変なのだよね。

ベリーダンスのショウですでに
大金を稼いでいた16歳のマイテは
プリンスのNUDEツアーコンサートで
そのパフォーマンスの豊かさに
ノックアウトされて、家族で突撃して
自分のヴィデオを渡し、すぐに
見てもらうことに成功(このころの
前座にはKETAMAも入ってたのね
知りませんでした)。

たぶんプリンスはマイテの容姿に
ビビッとくるものがあったんでしょう。
そこから親密になるまでは
あっと言う間だったようです。

マイテが若かったため
電話で喋ったりすることが
多かったようですが、プリンスは
早い段階でマイテを自分の作品の中で
踊らせたいと感じたようです。

しかし、
髪型やファッションも指定し
若かったマイテが19歳に
なるのを待ち、
「避妊を始めてね」と
言ってから男女の関係になったり
結婚して妊娠した時
異常が認められるから詳細な検査を、と
医者に勧められても
「僕らには神様がついてるから」と
診察拒否したり、年上で全てにおいて
権力者だったプリンスに
逆らえない生活で
気持ちも身体も休まらないのが
なんか気の毒でした(結局7ヶ月で
帝王切開、すぐに子供は
なくなってしまった)。

エホバの証人の信者と
生活を共にするって大変ね…
命に関わるし。

もちろんプリンスほどの才能なら
自分は彼に従う生き方で良い、という
考え方もあるんですが、これは
よくある年の差男女の
マスターとスレイヴの関係のようで
マイテも相当疲弊したことでしょう。

色々あっても
プリンスの身近で
過ごせた過去を愛おしく思えて
手紙を読み返したり出来るのは
プリンスが
あれだけのパフォーマーだったからでしょうね。

一緒に回ったツアーでの経験は
一流のメンバーも一緒に作り上げる
最高の時間だったと思います。

つまらんその辺の男を
まあ、これくらいが自分の似合いだと
思って尽くしてみたところで
納得のいく人生になる保証もないので
マイテはこれ以上ない男を相手に
冒険をやり遂げたということですよ。

DJ KAZURU