小田雅久仁 著
短編集「禍」拝読。
発売前から宣伝用小冊子が
書店員に配られたり、編集者が
テレビでレコメンドしたり、鳴り物入りで
出版されたので、期待に期待をして
読み始めましたが、うーん。
最初の
「本のページを一枚一枚
食べてゆくと、その
世界が脳内ではなく現実の
体感として味わえてしまう話」
こそ、確かに究極の読書体験て
それかも知れないな、と
思わせる快作でしたが、あとは
微妙。
削ぎ落とした鼻を
畑に植えるとまた人間が蘇る
工場で働き続ける貧困に陥った
男の話。
他人の耳に指を差し込むと
その人の中に入ってしまい
お互いの人生が溶け合う話。
などなど、身体のある部分を
使って奇妙なコンセプトを
作り出しているのですが
設定を奇天烈にしようと
こだわるあまり、文章そのものが
雑なところもあって
いまひとつ面白く読めない。
不思議なパラレルワールドなら
星新一を読んでる方が
ずっと楽しめるでしょう。
作家もアイデア出す段階で
悩みすぎるんだろうな。
でもコンセプトありきの小説って
どうなんだろう。
ちょっと読者を舐めてないか?
書きたいものが
溢れ出る人だけ
作家活動を
してくれればいいのですが。
DJ KAZURU
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