菊水兵談
横溝正史 著、拝読。
横溝正史の時代小説って
どんなものかと思いましたが
普通こんな事する?
という手の込んだ
トリックが出てくるのは
横溝ミステリー同様で
展開に次ぐ展開、あきさせない
娯楽小説でした。
菊水兵馬なる男を中心に
した物語ですが
井伊直弼の時代
長野主膳の女隠密が暗躍…なんて
あたりが舟橋聖一の「花の生涯」と
似た設定ですね。
こちらでは、もっと
執念深く男に復讐を果たす女として
描かれてましたが。
西郷隆盛や近藤勇など
歴史上の人物と、魅力的な
人物造形の架空のキャラが入り乱れて
楽しく読めます。
忍者のように身軽な
小男の活躍や、
尼として生きる女性の
不意の我が子との再会など
面白エピソードと
お涙エピソードも盛り込んで
さすが横溝正史。
初出が昭和16年の講談雑誌ということで
当時は講談というものがまだ
ポピュラーだったと分かりますね。
この春陽堂文庫の
復刊シリーズは、文字が大きくて
年配の小説好きにアピールしそうな
ラインナップ。
今後も何が復刊されるか
楽しみです。
DJ KAZURU
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