2022文学、より
「マジックミラー」
千葉雅也 著、拝読。
いわゆるハッテン場で
繰り広げられる性のやりとりを
冷静に書いているんだけど
なにかこう、背中を押されるように
読んでしまう。
ウリ専だった店子との
20年越しの再開から
自分がその世界で遊び始めた頃の
記憶を辿る話ですが
悪くない短編です。
これってゲイの方なら
俺たちの日常を書いてるだけじゃん
と、言うかもしれないんですが
この色合いで、そうそう
書けるものではないですよ。
こういうものは喩え話2000年以前にには
出なかった作品だろうな。
なぜ彼が芥川賞を取れないのかは
たとえば山田詠美の受賞作に
比べれば仕方のないところだと思うのですが
なんかすごい小説書いてくれそうな
期待を持てます。
すでに川端康成賞ではあるけど。
もうひとつ
金原ひとみの
「ハジケテマザレ」も拝読。
コロナ禍を生きる人々の感情を
うまく書き出してきた一連の
作品につながるような短編。
イタリアンレストランでバイトする
様々な年齢の女性たちが
お互いのことをよく
知ってるわけではないのだけど
この閉塞感の中で、若いメンバーの
失恋復讐劇に付き合う。
それだけの話なんだけど
妙な結束感を独特の言葉で
書いてくれてます。
疾走感は相変わらずで頼もしい。
この本には他にも近年の
良作が収録されてるようでしたが
全部は読んでません。
コンセプトだけ、みたいな短編も
混ざっていたので…うーん
これって最近よくある手法なんだよね。
わたしは小説が読みたいのであって
面白い話をききたいわけではないからなあ。
DJ KAZURU
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