テルマアンドルイーズという
映画は見てはいないのだけど
「照子と瑠衣」という
タイトルで、あ、と
思いますよね。
大人の女性のバディものだと。
井上荒野の新作です。
70歳になった中学校の同級生
ひとりは専業主婦
ひとりは離婚と死別二度の結婚を
経験したシャンソン歌手。
今の生活がやりきれなくなって
飛び出し、オフシーズンの
別荘地の一軒へ不法侵入し
人生を見直しながら
共に歩んでいくストーリー。
二時間で一気読みです。
二人が別荘におちついて
最初に缶ビールを飲むとき
それが250ccなのが
いやー、良い描写だな
分かってるなって、思いました。
他にも女性だから
舐められて、他人に突っかかられる
場面とかね、リアリティばっちり。
二人はなかば逃亡状態で
喫茶店の片隅で占いを始めたり
スナックと交渉して
歌の仕事を取ってきたり。
こういう行動力って
実際の70歳くらいの人が
持ってるポテンシャルなんだろうなって
思いつつ拝読しました。
瑠衣の人生の心残りを
見事な形で解消したふたりは
照子の思い出を探しに別の土地へ流れ
ふたりそれぞれに
自分らしく抑圧されない生活を
続けます。
年取ったらもう
やりたくないことはしたくないよな!
そういう声が聞こえてきそう。
なにも贅沢したいわけでもないし
ワガママを通そうって言うんでもない。
自分らしく生きることが
何より大切なんだけど、日本の女は
なにかしら役割を押し付けられがちなんですよね。
この小説は
私にはすっごくいい小説だったけど
男が読んでもまったく
面白がれない気がする。
DJ KAZURU
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