石井妙子 著
「近代おんな列伝」拝読。
表紙絵が甲斐荘楠音ね、それはともかく
「天皇家に仕えた女たち」
という部分が気になって読みました。
現在、男系の男子と
言われるように一見
天皇家は、天皇の子である男が
妻を迎えて
また男を産んで、と脈々と続いてるように
思ってしまうけれど
正妻である皇后が産んだ子が
次の天皇になってるかと言うと
それをしているのは新しい方から言うと
平成の天皇、昭和天皇、大正天皇のみ。
昭和天皇は妾が宮中に住まう形を
嫌がって、制度を廃止したそうですが
それまでは、正妻が子供を
産もうが産むまいが、それなりの
格の高い家から選ばれた妾はいて
跡継ぎを産む要員だったわけです。
明治天皇は
複数の女官を妾とし
生まれた子供15人を、表向き
皇后である一条美子の子としたけれど
実際には
皇后は出産経験なし。
大正天皇の実母は公家出身の
柳原愛子といって
柳原白蓮の親戚筋の女官。
その前に明治天皇の子を出産した
二人の女官は、二人共すぐに
子供が命を落とし、本人たちも
出産後数日で亡くなってるというから
柳原愛子も死ぬ覚悟で出産に
望んだのではないかしら。
石井妙子いわく
「皇統をつないだ最大の功労者」
なのですが
明治天皇と皇后が巨大な武蔵野御陵に
祀られてるのに対し、愛子は
皇族専用の豊島岡墓地でさえなく
目黒の祐天寺に墓があるそうです。
「現天皇の高祖母である」
ことを思えばあんまりな扱いで
恐ろしいなと感じました。
明治天皇の母も
もちろん孝明天皇の妾の女官。
遡れば遡るほど
影の女性が産んだ男子で男系の天皇を
繋いできたことを思うと
その女性たちが軽く扱われて
いいのだろうか、という
気持ちになります。
なんか、まあなかったことにして
深く考えないようにしよう、という
感じで来たんでしょうが、先祖を
大事に思うなら、老いて宮中を去った
天皇の実の母たちにも
思いを馳せてほしいものです。
DJ KAZURU
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