岩井志麻子 著
「べっぴんぢごく」拝読。
著者お得意の設定ですね。
岡山の貧しい暮らしの中でも
更に貧しい乞食の母子。
母は身を売り、父は幽霊となって
二人の暮らしを見ている
(のちにこの夫婦と思われていた男女は
右足と左足が繋がって生まれた
双子であったという話が出てくる!)。
村の分限者の狂った娘に気に入られたことから
その家の跡取りになった
乞食の娘は美しさが評判になる。
ここから
現実離れした美しい娘と
醜女が交互に生まれてくる
100年にわたる女系家族の
物語が続いていくのですが
日本的な湿った性を書くのが
本当に上手いよね、岩井志麻子。
相手がつまらない男であろうと
子種は持っている。性交して
子を産むことで生命をつなぐとでも
言うように、子を成す女たちと
それを見つめる亡者たちの
世界、生と死の交わる土地。
たぶん彼女が育った岡山の田舎には
ずっと
乞食がここまでは入って良い、という
壁があったのだろうし
門付けの盲目の芸人も来てた名残が
あるのでしょう(さすがに今はないかもしれないけど
それを感じて幼少期を過ごしたのだと思います)。
まともな家のまともな死に方をした
人が葬られる墓地があるいっぽう
乞食のようなものや
水子が葬られる墓地は分けられている。
境界線がはっきりしているようなんだけど
ふと、そこを超えて異界のものが
目に見えるような気がする土地。
岩井志麻子の育った岡山近辺に
いたことある人なら分かるのかなあ
自分は東京の小さいエリアしか
知らないので、どこか遠い国の
話を読んでいるようです。
DJ KAZURU
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