昨年歌舞伎界の
悲しいニュースとして
四代目猿之助さんの事件が
あり、なんとなく10年前の
襲名時に出した
「僕は、亀治郎でした。」
を読んでみました。
個人的に彼の舞踊に
惹きつけられるものがあり
歌舞伎座で何度か魅了させられましたが
知性あふれる賢い人という印象は
書籍からも感じられ、まったく
惜しいことをしたと思うばかりです。
猿之助の歴史というのは浅く
明治23年からですから
その名を、家を、
大きくしなければならない、また
守らなくてはならない重責と
いつも隣り合わせだったのかもですね。
この本には襲名にあたって
いろいろな人が期待を寄せていて
まさかこうなるとは
思いもよらなかったわけですから
人生なんてわからないものです。
そのわからない中で
確かなのは、過去の演目で見せた
猿之助の芸ですよね。
三代目猿之助(二代目猿翁)の
逝去にあたって、過去映像が
NHKでながれまして、黒塚と
ヤマトタケルを拝見しましたが
圧倒されました。
特に黒塚はただ歩いてるだけのところも
老女の背負ってる業が見えて
凄まじかったです。
そして、激しい場面ではその
身体能力にうならされました。
四代目の映像は当面
お蔵入りでしょうが、いつか
改めてみんなが見るとき
やはり、すごい役者がいた、と
思うはずです。
また四代目観たいな。
・・・
これを書いたあと
演出家の横内謙介氏が
文章を発表されました。
四代目が孤高の状態で芝居の世界に
いることを大変だろうと思いつつも
それを何処かで楽しんでるように感じていた。
そんな自分を今は後悔しているというような
内容でした。
確かに突出した才能の人は
誰も分からない域に行っていて
相談できる人なんかいなくても
自分で探していくものなんだ
だって彼は特別なんだから、と
思うことってあるかもですよね。
今回のことで、我々も
天才だって心を痛めるんだという
当たり前のことを知ったわけです。
あなたは素晴らしい役者なのだから
世間の雑音は
鼻で笑っていれば良いじゃないですか、と
いう我々凡人のつまらない意見など
なんにもならなかったんですよね。
・・・
DJ KAZURU
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