「風神雷神」
原田マハ 著、拝読。
珈琲屋で勧められて読んだ本。
扇屋の息子として生まれたということと
残された作品以外に来歴がはっきりしない
俵屋宗達。
だからこそ
もしかしたらこうだったかもしれない
という想像を
ここまで膨らますこと可能だったのでしょう。
織田信長の命で
天正の使節の少年たちとともに
海を渡り、マカオ、インドを経て
ローマへ。
大熱狂の中
ローマ教皇に拝謁し
レオナルド・ダ・ヴィンチや
ミケランジェロの絵に
圧倒され、少年のカラヴァッジョに
出会う、若き俵屋宗達。
何年にも及ぶ航海、天正使節の
少年たちとの交流。
イタリア語やラテン語を学び
聖書にも親しんでいく。
外国についてなど
なんの情報もなく、ただその時
観たもの触れたものを強烈に
吸収していくしかない、当時の
天正使節たちってすごいと思ってましたが
そういう経験を
才能ある絵師がしていたら…いや逆に
そんな経験でもなければ
あの風神雷神を描くに至らないのでは?と
いう気もしてきました。
いやー、さすが学芸員だった
人の小説です。
私も「かもしれない」物語を
多いに楽しみました。
ユピテル、アイオロスの絵を
宗達とカラヴァッジョが
贈り合うなんて!
命がけで海を渡り再び
日本に戻った原マルティノらは
キリスト教弾圧にあい、不遇の
時代となったけれど
絵は時を越えて多くの者の
心を打つことが出来るんですよね。
この小説のような
ドラマティックな経験をしたから
風神雷神のような絵が描けたのだと
思わせる絵師、それが
宗達なんですね。
・・・
真の傑作に出会ったとき
ただ黙ってその絵をみつめることしかできない
傑作はいかなる言葉も奪い去る
傑作の前では言葉など必要ないのだ。
・・・
DJ KAZURU
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