団鬼六 著
「大穴」拝読。
SM小説の帝王が
若い頃書いていたものも
滅法面白いと、この数年再評価されてる
団鬼六ですが、当時の風俗を
よくあらわしているし、疾走感もあって
楽しく読みました。
疾走感のもとは、これかと
わかったのですが、解説によると
昭和30年
団鬼六26歳のときに
山の上ホテルに缶詰にされて3日間
徹夜で書いて、そのあとは
どんなものを書いたかも忘れてた位
だと言います。
前作がまるで売れなかったけど
出版社の自転車操業のために
無理やり書かされた
という経緯らしいのですが、これが
大当たり。
杉浦直樹✕芳村真理で映画化もされ
のちには
クレイジー・キャッツでドラマ化。
文字通りの大穴を当てたあとは
また相場に敗れて大変苦労したそうだけれど
団鬼六といえば
野生の勘で生き延びる男
人生ジェットコースターですよ。
めちゃくちゃ勝ってるときに
引き上げれば安泰なのに、更に
全部を賭けて大きな勝負をしてしまう。
そんな人生で突っ走る
若者の物語。当時ウケたのも
よく分かりますね。
なんかさ、夢があるんだよね。
真面目に働いて
適度に出世して、女の一人も
囲えるようになったとして
それってなんなの? という
感じが当時の男たちにあったんではないかな。
DJ KAZURU
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