棟方志功の来歴を
妻の視点でたどった
原田マハ、お得意の美術小説
「板上に咲く」拝読。
棟方志功は青森出身で
版画の価値が確立されていない
昭和初期には、当然地位が低く
貧乏生活だったんですね。
家業は鍛冶屋で
仕事の様子が面白く
眺め続けた子供時代に
目を痛めたとかで、視力は
早いうちからほぼ無かったようです。
ダイナミックな線と
文字を一緒にる彫る作風が印象的で
結構好きな作家なのですが
ゴッホに強い憧れをもって
創作し続けたことは知りませんでした。
浮世絵にインスピレーションを得て
油絵を描いたゴッホの先を進むのだから
版画をするのだというのは
なるほどと思いますが、浮世絵のように
分業制で彫って刷って版を重ねていくのと
棟方志功スタイルの
全部自分でやってしまうのでは
だいぶ苦労が違うでしょうから、道を
切り開いたと言って良いでしょう。
棟方志功を見出し励まし続けた
柳宗悦もホントに良い人で、ここまで
ネームバリューのある人が
絶賛してくれたという流れがなければ
もっと棟方志功の赤貧生活は
続いたかもですね。
棟方志功を支え続けた妻は
同郷で、彼の成功のためだけに
生きてるように描かれてますが
この時代、この男は素晴らしい芸術家なのだと
信じて支えたわけですから
自分の選択に間違いはない、と
強い意志で生き抜いた人なんでしょう
いやあ、こんな版画のことしか
考えない男からは普通逃げ出しますよ。
民芸運動の顔のひとつとして
スポットライトが当たりだした
棟方志功ですが、今見ても
実に生命力にあふれる
魅力的な作品群です。
能の善知鳥(うとう)の世界を
版画に移した大作が作中にでてきますが
これはぜひとも実物を拝見したい。
どこで見られるのだろうか。
DJ KAZURU
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