井上荒野
「錠剤F」拝読。
ちょっと前に
嫌な読後感の残るミステリーを
イヤミス、と称する減少が
出てきたと思うんだけど
これもびっくりするくらいイヤな話ばっかりで
イヤ短編集でした。
一編は短いのだけど
ウワーッと思って一度本を
閉じてしまう感じ。
婚活がうまくいかなくて
保育園児の父親のセフレにされてる
保母さんとか。
夫が前妻を殺して床に埋めてたことに
20年以上気づかなかった刺繍作家とか。
コロナ禍にエセ浄水器を
売りに来る女や
夫と友人の老いによる
違和感が浮き彫りになった老女とか。
ご近所に言いがかりをつけられた
飲食店経営者とか。
普通に生きてるつもりでも
些細なことが発端で
ぽっかり落とし穴に嵌まるようなことは
誰にでもありそうで、でもなんか
こういうことは忘れてしまうに
こしたことないという感じもあって
多分みんながフタをしがちな心の動き。
そこを目をそらさず書いたような
短編集でした。
なんでこんな嫌な感じのもの
書いたんだろうと思いましたけど
そこが井上荒野の面白いところかも。
DJ KAZURU
Add A Comment