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2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

国宝

義理人情を重んじる生き方、
そういうものが大好きなのです。

誰かに世話になった経験を
大事に抱えて恩返しとはいわなくても
そのことに感謝する。

当たり前のようでできないものです。
なぜならその人のおかげで自分が
大きくなれたということがあったとして
その人には大きくなかった時の自分を
知られているわけですから
過去の自分を忘れたい者は
その大切なはずの人を遠ざけたい。
義理人情を重んじることができないんです。

ここには義理人情を重んじた
男たちがでてきます。

長崎のヤクザの家に生まれ
抗争で親を失い歌舞伎役者の家の子の
なった喜久雄。

華僑が芸者に産ませた子であり
親をなくしてから
ヤクザの家で世話になり、ずっと
喜久雄を支えた徳次。

どちらも自分の栄誉や肉体と
引き換えても義理を果たすんですね。

更に、生粋の関西の歌舞伎の家に
生まれた俊介。
芸しかない喜久雄と俊介。
半二郎の名跡を継ぐのはどちらかという
話に発展していきます。

様々な歌舞伎の有名演目
伽羅先代萩、二人道成寺
女殺油地獄、曽根崎心中
忠臣蔵九段目、隅田川、が
彼らの人生を彩り
演じているはずの喜久雄は
美しさに満ち満ちた芝居の世界へ
入り込み、それは言い換えれば狂気。

足を壊疽で失った俊介
(三代目田之助が投影されている)。

芝居以外は不幸続きの喜久雄。

読んでいるときは
これは実在の歌舞伎役者で言えば
誰のイメージを借りたものだろうかと
想像も膨らみます。

最後の最後に
女形が演じる最高峰の役
阿古屋を演じたまま
芝居の世界から抜けられず
喜久雄は次の舞台に出るかのように
舞台から歌舞伎座前の交差点に降り立ち
出のかけごえ
「はい」
と、言いそのまま
彼の生命は終わる(と、解釈しました)。

私は2017-2018年にかけての
新聞連載で拝読していたのだけど
改めて今読んでも気づきが多く
楽しめました。
吉田修一は黒衣姿になって
歌舞伎座の舞台を袖から
見せてもらっていたらしいですが、実に
よく研究されています。

女形の本質について

「男が女を真似るのではなく
男がいったん女に化けて、その女をも
脱ぎ去ったあとに残る【女形】」

と書いてありこれも良い表現。

役者同士のやりとりなどは
我々の知らないところですけれど
楽屋での挨拶の風景などさもありなん。

また妻、母たちの襲名時に
駆けずり回る姿も横目で拝見している
とおりですね。

立派な親のあるなしで
役がついたりつかなかったりするのも
現実と一緒。

曽根崎心中、お初徳兵衛の
稽古をつけてる時の
半二郎の言葉が

「そんな水っぽ芝居で舞台に立てるかいな!
いっこも生きてへんわ。ええか?
あと一つ鐘がなったら、アンタ死ぬんやで。
死ななならへん悲しみと
大好きな男と死ねる喜びとがないまぜや。
それがいっこも伝わって来てへんねん。
舞台でちゃんと生きてへんから
死ねへんねん!」

かーっ。
こんな稽古してる人たちの
舞台を見たいものですね、現実でも。

・・・

紛れもなくこの凄まじい緊張感の
源泉は俊介であり、とてつもなく危険な
何かが、そこで踊っているのが
ひしひしと伝わってくるのでございます。

たとえば客が物音でも立てようものなら
ふいに踊りをやめた俊介が舞台を降り
その客に詰め寄っていくような……
と同時に、少しでも客が舞台から
目を逸らしてしまえば、その刹那
俊介がその場で
溶けてなくなってしまうような……そんな
両極端なあやうさに舞台は満ち満ちております。

・・・

映画化も決まっており、どのように
この世界を表現するのかそれも楽しみ。

DJ KAZURU


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