皆川博子
「散りしきる花」拝読。
大好きな「恋紅」の
続編です、恋紅と一緒に文庫復刊しました。
そもそも三部作の予定だったらしいですが
この「散りしきる花」以降続編は出ていません。
江戸末期、一流ではない旅役者に
惚れた遊女屋の娘、ゆうは
家を飛び出し男と一緒に
流れていく道を選んだ、そのあとの話です。
時は明治を数年も過ぎて
国が求める歌舞伎の姿も変化していきますが
興行がうまくいかず騙されもし
困窮し、旅役者の男は死んでしまう。
狂うしかなかった、ゆうの心
狂気の中で男たちに求められるまま
体を任せる中で妊娠し
生まれた子供を、なぜか死んだ
旅役者の子なのだと信じて
生き直そうと決意する。
旅回りの劇団と地方の
芝居小屋を取り持つ仕事
興行師となって
身をたてようと奮闘するゆう。
子供を役者に預けていたら
いつのまにか子供義太夫を仕込まれて
ゆうの子供は娘義太夫への道を
夢見るようになっている。
そんな話で、私はこのあとの
ゆうの娘の娘義太夫としての
活躍と凋落の物語を期待してしまいましたが
続編はないのですよねー。
さすが皆川博子で、江戸から明治に
うつった頃の芝居小屋の空気が
伝わるような描写、また
その世界に魅入られた女の
生き方が鮮やかで、皆川博子の
時代ものは最高だ、と
再確認。
ストーリーもいいけれど
匂い立つような芝居小屋の
そこでうごめく役者たちの
空気が感じられることがいいのです。
DJ KAZURU
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