「万両役者の扇」
蝉谷めぐ実 著、拝読。
歌舞伎にかかわる
人間たちの執念を描くのが
相変わらず上手い。
役者だけではなく
江戸の芝居小屋には
客席で饅頭を売り歩くものも
衣装作りに命をかけるものも
鬘にこだわり抜くものも
役者の女房として殺生さえ
怖がらないものもいる。
生命と引き換えになるようなことにも
光り輝く歌舞伎というもののためなら
何でもする、そんな気迫に満ちた
人々が寄って集って舞台を
作っていたとするなら
江戸の芝居っていうのはやはり
熱量の高いものだったんでしょうね。
今の歌舞伎座ではこうはいきません。
もっと刺激的な娯楽が
いっぱいあるし、そもそも世の中が
歌舞伎に託している夢の大きさが違う。
きれいなだけではない
世界の頂点にいる当時の役者というのは
どんな人間であったのかしら。
当時の様子を垣間見れるような
面白い小説です。
DJ KAZURU
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