奈良の菊まんどら焼き
白小豆の方いただきました。

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前回の話をまた引っ張りますが、

李琴峰の著書
「言霊の幸う国で」の中で
宇多田ヒカルがノンバイナリー宣言を
したとき反射的な拒否感をもった
とあって、ハッとしました。

トランス女性である李琴峰は
性自認は単なる自称ではないということを
よくわかっているのですが、宇多田ヒカルが
単なる自称以上のものなのか
疑問だということです。

本人がそのアイデンティティに
たどり着くまでにかかった時間が
見えないということなのですね。

李琴峰はじめトランスジェンダーの
人々は、自分に与えられた性に違和感を
抱いてから、長い葛藤があり
それを表明するまでに、また
ものすごく時間がかかっているということ。

李琴峰はノンバイナリーの友人との
対話によってこの違和感の正体を
突き詰めていくのですが
非常に興味深かった。

この小説の最後の方には
あまりにも男性社会によって
自分をないがしろにされ続けてきた
レズビアンの友人との対話も出てきて
それも強烈な対話でした。

その友人は家父長制に苦しめられ
職場や世間、あらゆる場で
女だからこのようにしろ、と
言われ続けたために男性嫌悪が
甚だしく、
男全員いなくなれ、
女だけになったら世の中平和だ、
という思想。

男は男の性を有しているというだけで
女より優遇されデカい面で生きてるから
いなくなってほしいという
彼女の主張は無茶苦茶なようで
分かるところもあるのです。

もし男に生まれてたら
その瞬間から台所仕事からも
免除され、将来的に職場で
お茶を淹れろ、と言われも
しないわけですから。

ただ彼女はトランス女性である
李琴峰のことも否定しだす。
彼女を苦しめているのは
李琴峰ではないのに、これまで一緒に
旅行するほど仲が良かったのに。
なのにトランス女性であると分かった途端に
そもそも男性であった李琴峰に
攻撃の矛先が向く。

男を軽蔑し
女をおしつぶそうとする社会に
刃を向けてきたから。
無茶苦茶なと言われても
そうやって戦うのが彼女の
人生なのです。

このレズビアンの友人が
歩んできた道の険しさを
想像すると、とても彼女を
否定できない。

また同時に、大切な友人と
分かり合えなくなってしまい
涙する李琴峰のことも
応援してあげたい気持ちになるのです。

この世の中には私が
想定していなかった人たちが
大勢いる。

数年前
「黒人の友達がいるから
自分は差別主義者ではない、と
言う人が一番差別主義に陥ってる」
という話を聞いて、理解できませんでした。

なぜなら
私にもゲイや黒人の友人がいて
自分は差別を感じてなかったから。

でも「言霊の幸う国で」を読んで
自分が「差別」を語るとき
勘定にも入れていなった人たちが
大勢苦しんでることを知ったのです。

無知は罪です。

私はなんにも知らないに等しかった。

DJ KAZURU