夕木春央
「方舟」拝読。
2022年の作品ですが
先月の東京堂神保町店での
文庫1位になっていたので、
未読の作家さんですが、単行本で拝読。
Wi-Fiもない別荘地の山奥で
地下に閉じ込められてしまうという
密室殺人ものですが
脱出のために右往左往する
登場人物たちの猜疑心が
渦巻くところはよくある感じ。
一人の犠牲で
全員が助かる、という
状況に色めきたつなか
犯人を名乗り出た人物が
身を挺して他の人々を助けることに
同意。
一同は生還への希望に
満ちています。
そこへ
主人公に絶望的なことを告げる犯人。
みんなが助かると思っていた道は
実は、助からない道だった。
あなたが
私のそばにいることを選んでくれたら
自分と一緒に生還できたのにね、さようなら
と、告げる犯人。
こわーい。
ミステリーの愉しみとは
トリックではなく
人の心の描き方にあるのだよなあ、と
つくづく思いました。
読みやすく、よくできた
ストーリーだと思いましたが、なんと
東京堂で1位になっていた文庫版は
100ページも書き加えられた
改訂版だったということ。
すっきりまとまった作品だっただけに
どう改変されたのか興味あるんですが
改めて文庫を読む余裕はないかな…。
DJ KAZURU
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