幸田文がいかに
孫へ着物の真髄を
伝えたか、がつぶさに
分かる本です。
6歳の時に
絹物なのかウールなのか
選択させられたことで
着物人生が動き出す。
地味ごのみの印象がある
幸田文も、孫娘には
華やかで色とりどりの
着物を選んでおり、その時時の
ふさわしさを重んじた人なんだなあ、と
わかります。
青木奈緒その人も
若い娘時代をドイツで
過ごしたとはいえ、着巧者に
なる素地は身についていたわけで
羨ましい限り。
ここに幸田文が孫娘のために
見立てた着物とエピソードが
山盛り出てくるのですが、本当に
尊いです。
色白でたぶんブルベの青木奈緒に
ぴったりの、パステルカラーで描いた
水彩画のような大ぶり花柄なんて
夢のような美しさ。
渋着物が代名詞のようになっていた幸田文も
孫には派手可愛い着物を選んでたことが
裏付けられる1枚です。
そして
地の色違いで作った
二枚の紅梅。
白地に紅梅は実に美しいです。
もう一枚の梅の地が赤いほうは
歳を重ねて似合わなくなり
悉皆屋と相談して緑で
染めかえることにしたそうですが
パッとしない仕上がりになってしまったそうで
八掛けの明るいグリーンだけが
その着物を救ったんだとか。
そこまでしても
選んでもらった着物を着ようという話は
青木奈緒エピソードとして
とてもよくでてきます。
失敗しちゃったほうの着物も
見たかったけどそれは載ってなかった。
ハナから自分の好みで
買ったものならここまでしないだろうけど
幸田家の着物となればほとんど
財産だし、ファンたちの気持ちも
乗っかってしまっているわけで
なんとか活かそうともするわけですね。
私には祖母の肝いりで
買ってもらった着物など無いし、正直
羨ましすぎなんですが、当人にしてみれば
重荷のような一面もあるかもですね。
だって幸田文のお見立てなんだもの。
また、成人式に
地毛で島田を結ったという話も出てきますが
これも、幸田文の
島田で過ごすことはどんなに大変なことか
たった一日でも味わって着物を着ていって
ほしいという願いから。
すごい、すごすぎます。
幸田露伴から続く
キリッとした生き方、真っ当な
人としての在り方を
着物で受け継いでいっているような
青木奈緒。
こうした教育で育った人は
もう、現れないかも知れませんね
残るは伝統芸能の家の人くらいでは
ないかしら。
DJ KAZURU
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