ヴァージニア・ウルフの
「灯台へ」が鴻巣友季子の
新訳で文庫化ということで
拝読。
1882年生まれですから
夏目漱石より一世代あとで
芥川龍之介よりは10歳上で
谷崎潤一郎に一番近い年齢ですね。
鴻巣友季子はディストピア小説の
翻訳がすごく良くて、それ以来
信用できる翻訳者という感じ。
第一次世界大戦を挟んで
たった2日間の出来事が描かれた
小説、とコピーが踊っています。
【小説には
こんなことができるんだ】
って、別に普通のことのように
感じましたが、あおるねえ。
スコットランド沖スカイ島の
ラムジー家の別荘に集まった
人々、ラムジー夫妻と
9人もの子供たち、そして
少々偏屈な友人たち。
それぞれの心の声で
紡がれているような小説です。
この人なんでこんなこと言うのかしら
面倒くさ、とか
私がこのように仕向けてやらなきゃ
行動しないんだからこの男は、とか
そういう心の声がずーっと続くので
確かに斬新だったのかもですね。
戦後、別荘のあの日から
10年が過ぎ、皆の世話を焼いていた
ラムジー夫人も故人となり
子供たちのひとりも戦死している。
ここでも
こいつ容色が衰えたな、とか
心の声で進行していきます。
とにかく
こうしてスラスラと読めるのも
翻訳が現代日本語になっているからというのは
間違いなくて、この数年
本当に海外文学が読みやすくなったと
感じます。
やっぱりヴァージニア・ウルフくらい
読んでみたいもんね。
DJ KAZURU
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