今年は識者としての平野啓一郎氏の
発言に何かと心を動かされました。
こんなにも賢い同世代がいて、心強いです。
そして、氏の小説・・・。
「2036年、人類はまだ愛を知っているか?」
なる帯の意味するところは
人はまだ人でいられているのだろうか、という
意味を含んでいるようにも思えます。
安易な整形が可能になり
誰もが顔を変えていくつもの
自分を持つ時代。
何処へ行っても監視カメラに捉えられる時代。
我が子の死を乗り越える為に
死者の幻影すらリアルに生み出してしまう時代。
人間は、苦しみのスパイラルからは
抜けられずに作ってはいけないものを
作ってしまう。
火星に行くことが出来るようになっても
ごく小さく思われる問題の数々は
解決できないまま。
この2009年に提示し得る
あらゆる問題が此処に書かれてあるようで。
全くの余談ではありますが、平野氏が
ピエール・エルメのマカロンについて
「谷崎潤一郎の羊羹表現」を引き合いに出しつつ
書き記した文章を読んでしまって、ああやっぱり
面白い人だな、と思いました。
マカロンひとつで、このような文章を書けるというのが
またうるわしい。
(DJ KAZURU)
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