小説とは
物語と、詩と、批評の
三要素で構成されたものを指す。
これが諏訪哲史氏の
文章にちょくちょく出てくるのですが
まったくそのとおりだと思いますね。
最近売れてると評判の
ものの中には、実は小説ではなく
ただの物語であることが多くはないか。
私は小説を読みたいんです、それは
そこに詩と批評が含まれていると
いうことだったんですね。
小説をいっぱい読んでる人の
オススメ本が一気に分かるという点で
小説家による小説レビューは好きなのですが
「偏愛蔵書室」はそんなものじゃなかった。
小説は如何にあるべきなのか
また、この小説の価値はどこにあるのか
作者の工夫はどこにあるのか
ということを深く深く読んだ上での
文学批評です。
なんか面白い本ないかなー、という
ガイドブックを手に取りような気持ちで
これを読んではなりません、著者の
読み方に素直に耳を傾けるべし。
読んできた本も、そうでない本にも
別の顔が見えてくる
素晴らしい文芸批評でした。
あと選び方がいいよね。
「チャンドス卿」の手紙に始まり
内田百閒、澁澤龍彦、埴谷雄高
ときて
山口椿、中上健次、
沼正三「家畜人ヤプー」があるかと思えば
泉鏡花、セリーヌ、ナボコフ。
これらの作家の知らない面が見れたような
素晴らしい一冊でした。
著者は作家ですが
読み手側のマニアとしても
敬服できる人ですね。
DJ KAZURU
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