
人でなしの恋
@国立アーカイブ。

羽田美智子
✕
阿部寛主演

奥山和由プロデュースの
「人でなしの恋」拝見。
江戸川乱歩の原作が
好きなので観に行きました。

とにかく人形が大事な
作品なのに、個人的に
人形の風情がいただけなかった。
全体としても
数年前NHKでやった
満島ひかり主演の
渋江修平監督作品のほうが
好きだったな…
人形が
陽月の蘇芳というもので
迫力がもう段違い。
あれは非常に短い作品だったと思うけど
本来30分程度で映像化すべき
短編ですね。
ただ羽田美智子は美しいです。
登場する紅葉の着物も
銘仙ぽいのも
羽田美智子のマジックで
最高に見えます。
江戸川乱歩といえば
全集がタダみたいになってた
タイミングで電子書籍を
ダウンロードしてたんだけど
「芋虫」を
改めて読みたかったからなのね。
とてもいい短編で
人間が追い詰められた時に
何を求めるかが
究極的な形で提示されるのが
ゾクゾクくるわけです。
ただ、最後に江戸川乱歩の
解説というか
コメント的なものが
あって、これは反戦小説として
素晴らしいと、左翼の人たちに
絶賛されたようなのですね。
が、自分は左翼にも
右翼にも政治的効果で
喜ばれることについては
どーでもいいと明言してます。
作家としたら
それはそうでしょうと
思ったんですが、私も
例えば横溝正史の
犬神家の一族とかを
反戦小説だ、と
感じたりすることがあったので
これは危険な読み方かな、と。
江戸川乱歩言うように
戦時を舞台にすることで
異常なシチュエーションを
描きやすくなるから
そういう設定になってるだけで
言いたいことは
戦争云々でもないし
政府批判でも無いと言われれば
そうかも知れないんですね。
というわけで
生身の人間の怖さのみに
視点を定めて読むと
やはり良いんですね。
私は
妻が狂乱のうちに
夫の眼を潰してしまう処と
瀕死の夫が
「ユルス」と
書いたメモが発見される処が
好きです。
DJ KAZURU
Add A Comment