パリス・ヒルトン
「PARIS the memoir」。

翻訳は推しの村井理子。

有名であることで有名
と言われるパリス・ヒルトンの
自伝本ですが衝撃でした。

彼女は日本の雑誌でも
よく見かけた時代があり
頭の悪い遊び好きの
セレブお嬢様という印象でしたが
なんと、16歳から18歳まで17ヶ月を
戸塚ヨットスクールも真っ青の
全寮制学校とは名ばかりの
矯正施設で虐待されていたというのです。

日本でも数年前に
引きこもりの子どもを
矯正する名目で
親から多額の金を受け取り半ば
拉致のような感じで施設に連れて行かれるという
ことが問題になっていましたが
彼女もある日自宅のベッドルームから
拉致され、裸で屈辱的な身体検査をされ
自由に動けず喋ることも許されない
ときには薬でコントロールされる
施設に監禁されました。

まともな食事もなく
いかに己が劣った人間であるかを
指摘され続け、不衛生で
監視のもとでシャワーを浴びるような
生活に耐えきれず、何度も
脱走します。

が、なんとか親に連絡が取れても
親は大金を払っているため
「嘘ついてクラブで夜な夜な遊んでいる
ヒルトン家の恥になりかねない娘を
矯正してくれる立派な施設」にすぐ
連絡してしまい、また
反抗すれば殴られる
生活に戻されます。

なぜ娘の言う事を信じないで
施設の言い分を聞いて
疑わずに娘をそこに押し込めたのか
理解できませんが、
大金を払っているので
良い環境で娘が教育されていると
思い込まされたようです。

この施設はのちに
社会問題となり閉鎖されました。

ここでの話は壮絶で、パリス・ヒルトンも
20年以上が過ぎて、ようやく話せたし
世に知らさなくてはいけないと言う気持ちで
本書を書くに至ったと思われます。

本書はほぼこの施設での
体験が彼女に及ぼした影響について
書かれていると言ってもいいでしょう。

ADHDであることも告白されており
それもあって
学校生活がうまくいかなかったことも
あるようですが
だからといって彼女が
こんな酷い目にあって良いわけ無いですね。

こんな施設に押し込めた
両親とそれ以降絶縁してないのが
不思議。
彼女には
お金を稼いで成功したいという野心があり
そのためにヒルトン家の娘であり続ける
道を選んだのかと思います。

普通だったら
戸塚ヨットスクールを10倍
劣悪にしたようなところに自分を閉じ込めた
両親を信頼等できないし
憎み続けるものではないでしょうか。

なんの苦労もなく
愛され裕福な生活を続けていると
思ってましたが、他にも若くして
セックステープが流出したり
女性であることで不当な目に遭い続けたとも
告白していて、彼女の問題は
女性すべての問題でもあると
感じます。

現在は結婚し子供もいて
落ち着いた人生のようですが
ここに至るまでの想像を絶する困難。

彼女の立ち直る力のすごさに
感服。

ちょっと面白かったエピソードで
DJ業に乗り出したとき
（ほんのお遊びではなく
専門的な技術をそれなりの人から
きちんと学んだようです）
「女性DJ」といちいち言われることに
苛ついたようなことが書かれてました。

これには同感で、パリス・ヒルトンと
同じ言葉を私も、大声で言いたい。

・・・

【業界で最も稼ぐ女性DJ】

この文脈から女性がなくなる日に向けて
私は今でも努力を重ねている。
男の子たちは恐れないで。
あなたが優秀だったら、仕事は回ってくる。
競争があるということは
健康的でしょ？

・・・

DJ KAZURU