「これから聴くティンバ」掲載再開です。
キューバの基幹音楽ソンとティンバは、親子のような関係ですが、
新しいものを生み出したい若者にとっては、
ソンは古臭い音楽でティンバに向かっていくのは
仕方のないものがありました。その結果、
2000年代中期には多くのティンバ・バンドが生まれたのですが、
同じような演奏ばかりになり新鮮さを失っていきます。
その中で、ソンをベースにティンバの疾走感、
現代的なメロディをもった曲を立て続けに発表し人気を得たのが
Manolito y su Trabucoでした。
リーダーのマノリート・シモネーは、
そのオーケストレーションの実力で評価されていましたが、
作曲の出来るボーカリスト、リカルド・アマライが
加入してからは、ヒット曲を連発する存在に浮上。
従来のティンバがやや失速する中、
ソンとティンバの中間に位置するサウンドで
キューバの音楽シーンを引っ張るバンドになります。
紹介する曲は「Locos Por Mi Habana」。
明るく印象的なメロディ、ソンの持つ重厚なリズム、
現代的でモダンなアレンジとオーケストレーション。
マノリートはこの曲で2000年代における
ティンバの完成形を示しました。
ちょうどその頃、何度も来日して人気が沸騰。
当時、TVスペイン語講座の中で、
「若い日本人女性がキューバ旅行し、
現地のキューバ人青年に恋をしてしまうという」
実際にあったのかと思うほどリアルな内容のドラマが
ありましたが、そこでマノリートの曲が使われていて、
そのことを思い出す1曲でもあります。
何人もの女性がキューバ音楽と共に
現地で恋に落ちたことでしょう。
そんな魅力がティンバにはあるのです。
現在のマノリートは、フロントのメンバーを一新。
デュオで活動していたボーカル2人の加入で活性化し、
アマライと共にバンドの第二期黄金時代に入っています。
コロナが収束したらまた来日してもらいたいバンドの筆頭です。
2021.8 福田カズノブ
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