骸骨ビルの庭 宮本輝著
「人は嫉妬する生き物なのよ
人間が抱く嫉妬の中で最も暗くて陰湿なのは
対象となる人間の正しさや立派さに対してなの」
光が射す。
このことはテーマの一つになりましょう。
親を亡くした子と彼らを支えた男たちの
戦後から現代までに至る想いのあれこれ、細やかな
心理描写の重ね合わせで綴られます。
孤児「ナナ」が成長し新地のクラブに
入店した時、オーナーのおねえさんが
教養を身につけるために分からなくても読め、と
渡した700冊に及ぶという
書籍リストっていうのがまた素晴らしい。
源氏物語、
夜と霧、
美徳のよろめき、
レ・ミゼラブル・・・一部だけじゃなくて
全て知りたいものです。
それにしても宮本氏の小説は
美味しそうなものがいっぱい出てくるな・・・
本筋とはほぼ無関係にもかかわらず。
粉吹き芋に熟成したブルーチーズを
熱いうちに絡めて、マルゴーに合わせるなんて
家飲みとしたら絶品でしょうね。
この小説の舞台は大阪十三。
「みなと食堂」みたいな店が実際に存在するなら
近所の人は幸運です、一切化学調味料を使わない
家庭料理のお店。
私は基本的に三食手作りですが
疲れているときとか料理する時間のない時に
安心して食せるものが手近になくて困ることも。
見回せば
ありすぎるほどにあふれている食べ物ですが
その殆どは恐ろしくて口にできない。。。得体の
しれないものを口にすることは年々怖くなってきました。
(DJ KAZURU)
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