北方謙三 「檻」
毎日新聞で連載中、三輪太郎氏の
書評「死という鏡」で知った本。
三輪氏の魅力ある文章に、読んだ本は
また読み返したくなるし、未読のものは
買ってみようかという気になります。
書評といっても新刊書評ではなくて
現代小説再考、みたいな感じ。
これも1987年文庫になった作品です。
刑事ものとか、ハードボイルドとか
そういう中でここまで凝縮している
作品、そうはないんじゃないでしょうか。
とにかくほんの数行に含まれている
物語の厚みにぐっときました。
ひとつひとつの動きを淡々と追うような
描写の乱闘シーンにひどく冷めた温度を与えたり。
詩を愛する刑事が登場したり、主人公が
パイプを原木から作り上げるとかの
ディテールも素敵。
北方氏には
だいぶ前に、奥田瑛二主演で映画化した
「棒の悲しみ」っていう作品があるのですが
それと同じ世界観でほれぼれしました。
これもそろそろ
昔の話、になりゆくのかも知れませんが
美しい日本の世界観(というか寧ろ男道?)の
ひとつであると思います。
(DJ KAZURU)
Add A Comment