「春の雪」があまりにも面白かったので
豊饒の海シリーズ「奔馬」を読んでいます。
松枝清顕亡きあと年月は経過し
本多繁邦は今の私と同じ年齢・・・。
昭和七年の感覚はやはりだいぶ
異なりますなあ、と思う部分も多々ですが
「何たる奇異な年齢であろう!
遠い昔に青春が終わってしまって
その終わったあとから今までの記憶が
何一つ鮮明な影を宿さず、そのために
却っていつも、青春と壁一重隣り合わせに
暮らしているような気がしつづけている」
分からないでもないですね。
「春の雪」が恋愛話中心だったのに
続編はまったく異なる「天皇への忠義」を
芯に据えた話に展開してゆくことに
びっくりしましたが、そういった部分にも
作家の力の深さを感じます。
表面的には愛情と思われる部分に
潜んでいる嫉妬心がそこかしこに書かれていて
人間の厭らしさの突き方が凄い。。。
それにしても、何もかもが流麗な
三島由紀夫の小説。
澱みがないので
読んでいることのストレスが全く無い!
こういう小説を読んでいたいけれど
今後このような日本の作家が出てくる可能性は
あるのかしらと、ちょっと危惧。
(DJ KAZURU)
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