約50年前に製作された
映画
「人間の條件」全六部を鑑賞して
もうぐったり。。。
原作は空前のベストセラーだとか
映画も大評判になったなどというから
多少なりとも娯楽の部分があるかと
思いましたが、のっけから
つらいストーリー、回を重ねるたび
これ以上ひどくはならないだろうと
思われる主人公とその周囲の境遇が
ますます目を背けたくなるような
むごいものとなり、最後には
本当に一縷の望みもなくなるのでした。
主人公・梶は
基本的に
反戦だし、情にもあついし
どんな状況下でも人間的であるために
あらゆる抵抗を試みる人物ですが
戦争のど真ん中に放り込まれ、そこで
自らの生を全うしようと思うと
いやおうなく手が血に染まってしまうのですね。
結局は
殺し合い、奪い合い、辱め合いです。
しかも同胞の間で。
さっきまで平然と隣人であった
人との間でそれが起こる。
戦争はそうしたことから
逃れられなくなってしまう
人間の宿命を暴くものかと思いました。
原作のテーマはどうなのでしょう。
先日
「群像9月号」に
掲載されていた石原吉郎氏の
シベリア抑留経験についてのエッセイ
「ペシミストの勇気について」(これまた
「條件」と呼応するところ多い
想像を絶する話。収容所の
取調室で発せられた
「もしあなたが人間であるなら
私は人間ではない。もし私が
人間であるならあなたは人間ではない」は、
そのまま映画の梶の言葉のよう)を
読んだばかりだからでしょうか。
わずかであったかもしれないけれど
「人間の條件」の主人公のような
そんな
生き方をした日本人がいたに
違いない、と思うのでした。
(DJ KAZURU)
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