スウェーデンの作家
アニカ・トール著
「わたしの中の遠い夏」拝読。
翻訳もつつがなく、どこか
スェーデンのひんやりとした
空気を映し出してくれているような
気がいたしました。
50歳代の女性が
30年前の青春を回顧する物語。
奔放な若い時代と
母親となり中流家庭を生きている
現在の対比が際立つ。
記憶の中の出来事は
自分の願望が込められることによって
書き換えられることが
あるのではないか、ということが
提示されるのですが、これは
よくよく考えてみれば恐ろしいこと。
そして
母となった主人公マリーエと
30歳になる娘とのひりひりするような
均衡関係にもはっとさせられました。
緊張が解けないまま対峙する
娘の前で、わっと
涙をあふれさせ、かつて恋をした
男性のことを告白してしまうシーンは
映画のよう。
(DJ KAZURU)
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