中島京子著「東京観光」
短編集で、東京に限らず
いろいろな土地を舞台に
話が展開されます。
この作者のけっこう皮肉屋な
ところがのぞき見えて
楽しく読みました。
冒頭に収められた話の
舞台は小石川植物園。
私の実家に隣接する施設ですので
親しみもなおいっそう。
小石川植物園といえば
泉鏡花「外科室」。
玉三郎が初めて監督した
映画作品としても有名ですが
あれは、桜のうわっと咲いた
季節にロケしたもので
それはそれは美しい作品でした。
さて
「東京観光」。
鰐を探して
小石川植物園に来た主人公が
人形を車いすに乗せて
散策している中年男に出会うのですが
この中年男が
「妻は医療過誤で死んだ。高峰という
執刀医のせいだ。妻は
高峰と通じていたのだ」
というようなことをいいます。
泉鏡花「外科室」は
まさにそういった話で
ありまして、いいとろの奥さんが
桜の小石川植物園でほんのひととき
目を交わしただけ(!)の外科医
高峰に恋心を抱いて、そのことを
口走ってしまうのを恐れるがゆえに
麻酔を拒んで手術中に
死を遂げるという話です。
そんなわけで
鏡花と、実際の植物園(意外と地味)の
様子を念頭におきつつ
読まれると大変面白く読めるかと
思いました。
・・・
24日土曜の夜は
20時半よりイヴェントございます。
六本木コパカバーナでお待ち申し上げます。
(DJ KAZURU)
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