丸谷才一著
「持ち重りする薔薇の花」
もう単行本になったようですが
「新潮10月号」の掲載時に
拝読しました。
元経団連会長による
若き日々の回想。
親交をふかくしていた
カルテットのメンバーそれぞれの
いわば、名声の裏にある
人間関係のドロドロが
明かされる、というかたちです。
気持ちをひとつにして
音楽をつくりあげなくてはならない
カルテットの宿命に反して
しじゅう顔を突き合わせているわけだから
仲が実はこじれているというのは
割と普通なんでしょうね。
技術の高い
メンバーで構成されていれば
いわゆる心の乱れとか
「こいつうまくなったな」的なことも
音楽をあわせているうちに
自然と理解できてしまうわけで
なんだか大変な関係です。
自分も弦楽合奏の
経験がありますが、ともすると
きりきりしてくるというか
どこにも逃げられない緊張感の中で
音楽をやっているのか
間違えずにまとめあげることに
向かっているのかわからなくなったことも。
・・・
ところで
この号の「新潮」には
ラッパーのRUMIさんという方の
これまでの歴史と彼女のライムが
掲載されているのですが
非常に興味深く読みました。
私は
ラップを聴く際にその後ろで鳴っている
トラックの出来不出来のほうが気になってしまって
ラップそのものに集中して
聴くことができる人は少ないのですが
これを読む限り
ラッパーとは
言葉にこだわり、そこに
何物にも代えがたい世界を紡ぐ人なわけで
作家となんの変りもないのだと
思った次第。
(DJ KAZURU)
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