(前回のつづき) というわけで
勝新太郎の研究本を買ってみたのですが
そもそも
彼の父は
長唄や三味線の師匠で
本人も相当の腕前。
その縁で、歌舞伎の御簾の陰から
子供のころから
一流役者の演技を眺めていたというのです。
歌舞伎の裏方の血筋である
彼が映画役者になると
決めたとき
「邦楽界の大きな損失」
とまで言われたというから
座頭市の音楽センスが
いいのも当然であります。
「天才 勝新太郎」 を拝読して
「自分がやるからには」と
一部の隙も許さない
すさまじいまでの拘りに
いたく感心した次第。
いくつもの人気テレビドラマや
二時間ドラマへの出演話を
「金のために勝は
こんなことをやるのか」
とファンを失望させたくない、また
自分の理想を崩したくない一心から
断り続けたという話は
座頭市の充実した画面をみれば
納得であります。
もっと一般の視聴者に
わかりやすいようにしないとダメだよ、と
と進言するスタッフには
「俺に堕落しろというのか!
視聴者に言っておけ!
オレの作品が始まったらテレビの前に
正座して1カットも見逃さないようにとな!」
と言い放ったエピソードも
書かれてありましたが
そうやって
自分を追い込んでいく勝新太郎。
テレビの枠で見られる貴重な
芸術家であります。
著者、春日太一氏は
リリカルな、と表現されていますが
そういうドラマを作っていた勝新太郎って
豪快とかいう世間の印象とは真逆で
繊細な方だったのでしょう。
(DJ KAZURU)
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