「女ひとりの巴里ぐらし」
石井好子 著。
シャンソン歌手
石井好子さんの書くものは
「オムレツ」シリーズしかり
平易な文章なのだけれど
その中に人生の苦楽がみっちり
詰まっていて、本当に
稀な経験をした日本人なのだな、と思います。
これは
彼女が歌手として
モンマルトルのミュージックカフェに
1年契約で
出演していた時の出来事が中心。
なにせ昭和28年ですから!
解説で鹿島茂氏も書いてますが
この時代のミュージックホール(日本には
これにあたるものがない気がしますが
キャバクラ的接待をする
女性がいて、ダンサーがいて、芸人や
歌手がレヴューをする)に来ている
フランス人は芸の質には厳しかったらしいし
そんな
フランス人から金をとって稼いでいたという
事実はすごいです。
キューバの砂糖王で
トロピカーナの株主って人が
彼女の歌に目をとめて
「キューバに来て
トロピカーナと契約しないか? ドルを稼いで
フランスで遊んだほうが賢いよ。」
と、モンマルトルのホールの
7倍の契約金を提示してきたなんて
話も興味深かったです。
好子嬢は
「南国の青い海を目に浮かべた。
キューバに行ってみようかしら。。。」
と、思いつつも
現在働いている店との契約を破棄できないと
生真面目さから断ってしまう。
実際その数年後トロピカーナで
彼女は公演したのですが、
キューバにいついていたら
彼女にまた別の伝説がついてまわったかも。
(DJ KAZURU)
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