大岡昇平 著 「事件」 拝読。
見事な法廷小説。
50年前の新聞連載で発表された
作品らしいですが
こんなに重くるしい内容の
新聞小説があったっていうのも
びっくり。
未成年者による殺人という
一見、明快に思える事件が
裁判を重ねるうちに、どんどん
思いもかけない真実が暴かれだして・・・
というストーリーなのですが
被告も、証人も、裁判官も、検事も、
法廷で登場人物の
心理が変化してゆくところの
巧みな描写、なんていうか
最近の(よくいえば軽やかな作風の)
ミステリ作家には
真似のできない筆致です。
ストーリーの展開の
トリッキーさより
丁寧に人間を書いているもののほうが
実はドキドキ感大きいもの。
法曹界に従事する人々の
上下関係だとか
仕事への取り組み具合なんかにも
大きく触れていて、読み応え
抜群でありました。
(DJ KAZURU)
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