佐藤愛子 著
「院長の恋」拝読。
著者が大正12年生まれで
2009年に刊行されたものだということですが
老いて、このような
軽妙かつなまめかしい小説が
書けるというのはびっくりであります。
いや、老いてだからこそ、なのか?
表題作はなんということもない
中年男の血迷い恋愛エピソードなのですが
ディテールがすてき。
院長の失笑物の駄洒落、
不倫相手のどこまでも図々しい態度、
若い秘書の純情、
赤い携帯電話・・・。
同書に収められている
「離れの人」も実にぐっとくる短編。
老人と呼ばれる年齢になっても
異性の恋心をかきたて、また
同性の嫉妬心を煽る。しかも
精神的なものではなく
かなり生々しい女性のものがたり。
(DJ KAZURU)
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