高樹のぶ子 著
「透光の樹」 拝読。
これからの命も
今まで築いてきた人生も
すべてを賭しての恋愛模様。
若い時分にいちどだけ
出会っている、男女が二十年以上を経て
恋愛に陥るはなしです。
何が常識的で、なにがそうでないのか
分別のある者同士でありながら
心はどんどん揺れていくさまにドキドキ。
恋愛を軸に起きつつも
病を得たとき
如何に死への道を選ぶか、また
如何に老いていくのか、という
テーマも込められています。
ふたりは
その愛の深さを誰に知られるでもなく
男は死に至り、女もまた
夢と現のはざまを彷徨うようになりますが
彼女がいかに情熱的な
恋をしたかを感じ取った
実の娘が、嫉妬心に似たものを抱くところなんか
さすがの描写。
こんな恋愛
誰もが経験することではないのです。
谷崎潤一郎賞を受賞している作品。
ものすごい納得。
(DJ KAZURU)
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