三島由紀夫 著
「夜会服」 拝読。
昭和40年くらいに婦人雑誌に
掲載されたものらしいですが
旧華族と宮家の係累で作られた
コミュニティに新興勢力である
成金のみなさまが加わって
乗馬クラブだの、正装での
パーティーなぞに明け暮れておりまして
こんな時代にこんな感じの人たちが
いたというのが
驚きでした。
夜会服、というのは
そうしたコミュニティの中心にいる
ご婦人・令嬢方が着用するドレスのことであり、また
敬称に固執する浮世離れした
世界そのものの象徴。
そこで右往左往するお坊ちゃまと
恋心に揺れる娘のハワイ旅行の顛末なども
豊かなエピソードで笑えます。
このふたりは英会話も堪能という設定ですが
ハワイの新婚旅行も、一般的な
時代ではなかったことでしょう。
婦女子向けの作品ということで
ライトノベルのお手本のようといいますか
務めてやわらかい文章で書かれています。
観念的な言い回しはまったくないのに
整然と美しい書き言葉には変わりないので
読んでいる間、とても
いい時間が過ごせます、流石!
(DJ KAZURU)
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