小石川
サン・ポワンにて
シュークリームと
ヨーグルトムースとビスキュイのケーキ。
素敵なムッシュおひとりで
ご自宅兼店舗でなさっている
サロン・ド・テ。
清潔で高貴な雰囲気が大好きです。
飾り気のないケーキばかりですが
素朴系には非ず。
贅沢な気持ちになるひととき。
・・・
ちょっと前に
テレビで
吉田隆子という昭和初期に
活躍した女性作曲家のことを
知ったのですが
完全な男社会の音楽業界にて
ピアノ演奏をきわめ、自ら
指揮台に立ち棒を振り
ストイックに作曲活動を
していたとのこと。
戦時下においては
思想的な活動として
睨まれたようで
投獄され、それがもとで
寝たきりになってしまったりと
不運の女性。しかし
彼女が作曲したという
作品からは驚くような
発想ときらめきを感じることが出来ました。
昭和15年くらいから終戦までは
軍事を鼓舞するような
内容に傾いていったものの
いくばくかラジオではクラシック放送の時間も
あったようで、それについて
「聴けるものは何でも聴いた。
よい音楽も、悪いものも」
と、床に伏していても
音楽として耳に入るものへの
渇望がひしひしと感じられる
記述を日記に残してあり
切ないことであります。
私共は
流れてくる音楽を
有難く聴くなどということは
もはやなく、
ありふれている音楽の森の中に
迷い込んで、何を聴きたいのかすら
わからない
そんな時代を生きている。
吉田隆子の生きた時代は
もちろん自由がなく、あのころが良かった
などとはとても言えないはず。しかし
どちらが音楽にとって
情けない時代なのか、と問われれば
難しいところです。
(DJ KAZURU)
Add A Comment