天童荒太氏の新刊
「歓喜の仔」拝読。
さすがは
「悼む人」の執筆時に
「静人日記」を延々書いていた作者。
登場人物の
背景には緻密な筋立てと深さがあり
どんな人にも
「現在の姿」に至るのに
単純な経緯などない、と
まずは思い至ります。
練りに練られた言葉の選択と
無駄のない文章に感動。
これは
親を失い
世間にも見放された
絶望しかないように見える
兄妹のものがたり。
その周囲で同じく心に傷を抱えている
さまざまな国籍の子供たちの登場が
閉塞感を加速。
世話をしてくれる人はいない
お金もない
何もない。
そこからさらに搾取しようとする人は来る。
でも
空想する心は
奪われずにいるわけで、彼らの切ないまでの
「心だけの自由」には泣きたくなります(交錯する
現実と空想の転換手法がまた見事)。
「ひどい親だ」「無責任」というのは簡単ですが
彼らを追い込んだ大人たちにも
幼かった頃があり
希望があり、それを奪われた過去があり・・・
殺伐とした
ニュースが絶え間なく
流れるいまの日本だからこそ
読むべき一冊。
(DJ KAZURU)
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