丸谷才一氏のラスト編纂本
「花柳小説傑作選」 拝読。
芸者さんが主人公の
小説から(「てっせん」瀬戸内晴美など)
ありますが、売春婦を描いた短編
(「娼婦の部屋」吉行淳之介など)まで
花柳、の定義の幅が
結構広い感じです。
いずれにしても
ここで書かれている「花柳」の世界は
じっとりと湿っぽくて
重い夜の空気に支配されています。
現代の水商売、とは
だいぶ異なる気配。
わたくしは
こういう、裏稼業はとことん
裏の気配をまとっている、というのが
好きですけどね(笑)
日本文学に
こうしたカテゴライズを示してくれた
編者に感謝。日本だからこそ
生まれえた文学です。
知らなかった名作ぞろいで
わくわくして読んだ作品が多いのですが
永井荷風が「妾宅」という
粋の塊のような作品にて
洋楽と邦楽の差異について
かなりエッジの効いた意見を述べられているのに
驚きました。
少なくとも
芸者が三味線鳴らしているような場での
男女の関係の読み解きには
邦楽の心得が必要なのでは? なんてことも
考えます。
(DJ KAZURU)
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