先日直木賞の発表がありまして
この桜木紫乃氏の「ホテルローヤル」
が受賞とききました。
地方都市のラブホテルで
起きる出来事の連作短編、という
受賞作品の内容を知り
特に読む気も起きませんでしたが
本人がインタビューで
「中学生の時に
親がラブホテル経営を始め
家族で住み込んで働いていた。
そのホテルの名前が
ローヤルだった。
これは異常な体験ではないかと
気づいたのは
自分が子供を持ったとき」
と
話していて、びっくり
俄然この人の書くものを
読んでみたい! なんて
興味津々になってしまいました。
さて
「地平線」ならぬ「氷平線」拝読。
北海道の中でも
ちょっとさびれた都市が主な舞台。
たぶんホテルローヤルと
同じ土地の風景なのだと思います。
ブルー・グレーのグラデーションが
イメージされました。
冷たくて
希望がちっとも見えないような
悲哀に満ちたような。
東京しか知らない私みたいなものには
想像がつかない貧困やら
村社会やらがかなり根深く存在する
世界なのですが、忌々しいと思いつつも
そこに身を置く登場人物たちの
心情には素直に寄り添うことができます。
林真理子氏が桜木氏をして
「文学界の壇蜜」と称したそうですが
確かに昭和のムードと
独特のしっとり、ねっとり感が。
とうとう
ここの人間になっちゃったねえ
みんな人の家の冷蔵庫の中身まで知ってるくせに
自分の家ことは
何もばれていないと思ってる
そう思わないと
こんなところじゃ生きていけないけど
(DJ KAZURU)
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