最近読んだもの幾つか。
角田 光代 「三面記事小説」
ニュースを見れば「なんでこんな事件が!」と
不可解に思うことばかりですけれど、これを読むと
こうした流れでことに至ったのならば無理もない、とすら
思えてしまうから不思議です。
あいつが憎かったから殺した。というような
単純明快な理屈で行われる殺人など実際少ないのでしょうね。
フィクションでも実際の事件が下敷きなので読んでいるうちに
嘘かまことかわからなくなる面白さが。
川島蓉子「川島屋百貨店」
いわゆる「私の好きなもの紹介」。センスのよいものが
集められているには違いないのでしょうが、ちょっと王道すぎ。
この手のものだと、やや偏った趣味の人のお気に入りを知るほうが楽しい。
私の知る限り、山咲千里姉さんが手掛けた本が最強だったと思います。
たぶん絶版ですが、私の過去コラムを根気よくたどっていただければ
何年か前の記事で紹介している筈です。
山本文緒「アカペラ」
収録作品は3篇。他の2編も作風に変化が見られましたが
表題作だけはちょっと山田詠美風ではないですか。
結末や話の展開はともかく「僕は勉強ができない」の
ガールズ版かと思いました。これも嫌いじゃないけど
また「恋愛中毒」みたいなの書いてほしい。
島田雅彦「退廃姉妹」
こんなに軽妙な作風の方でしたっけ。久しぶりの島田作品
なぜかすっと入っていってしまいました。
(DJ KAZURU)
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