相場英雄 著
「震える牛」 拝読。
殺人事件のからむ
企業ミステリー。
話の軸はいくつもあって
警察と地元有力者の癒着とか
街の開発における商店街の問題とか
スーパーマーケットの内部事情など。
わたくしがもっとも
興味をひかれたのは
加工肉の製造過程についての
記述。
儲けを出すために
安い価格の加工肉を造る。
それが
スーパーマーケットや居酒屋での
メイン商品となる。
実際にも大きく報道された
犯罪ですが、実に
リアルに描かれていて、ぞっとしました。
内部告発を決心した人物が
記者を居酒屋に呼び出し
ハンバーグとソーセージを注文し
しかし食べない。
記者の 「なぜ食べないのか」 の問いに
彼は 「雑巾だからです」 と答え
内情を語り始める。
ベースとなるのは老廃肉(クズ肉)と
その内臓、血液。
食用脂を抽出した後の
脱脂大豆に亜硫酸ソーダ水溶液を混ぜ
亜硫酸ガスを加えると繊維のような
形のタンパク質が生まれる。
その代用肉をさらに亜硫酸塩、塩化カルシウム
イオン交換樹脂の薬で濾し
甘味料、化学調味料
牛の香りを演出する合成香料。
これらを混ぜる
さらに容量を増すために水を加えてできた
ハンバーグ。
くず肉に大量の添加物を加え
水で容量を増すから「雑巾」。
ひとつひとつの添加物は
発がん性、毒物のチェックをクリアしていても
同時にいくつもの添加物を
混ぜたときの実証データなどない。
いやー、こわいこわい。
自宅で自分で作る際の
材料費よりも
安く買えるハンバーグって
どういう仕組みなんだろうと、不思議に思うことは
よくあるのですが
こういうことだったか! と思うと寒気がします。
もちろん今のご時世
まったく添加物を口にしないという
食生活は難しいけれど
何も疑問に感じないまま
「雑巾」を口にすることだけは避けたいものです。
(DJ KAZURU)
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