辻原登氏の書評に
惹かれることが続きましたので
東京大学での
講義をまとめた
「東京大学で世界文学を学ぶ」
を拝読。
氏の講義は小説の読解に
とどまらず、
描写とは何か
小説はいかにして誕生したのか
そもそも日本語は
どのように成立したのか
書き言葉の誕生は? に始まるもので
文学の意味を根本から考えさせてくれる
見事な流れでした。
翻訳で外国の小説が
読まれることの意義については
氏の言葉がなければ
一生見過ごすことになったかも知れません。
講義において
氏はパスティーシュの効用を
重んじています。
パスティーシュ、つまり
外国のある小説を完全にアレンジして
日本の物語にしてしまう試みですが
実際に辻原氏による
パスティーシュ短編を提示されることで
なんと気づきの多いことかと
びっくり致しました。
また
長編小説についても
多くの時間が割かれていますが
ここではまったく読んだことのなかった
「マダム・ボヴァリー」
が
美しい要約のために
これは爆発的に面白い小説であると
示してもらえました。
とにかく刺激になる話に
満ちておりましたが
こういったことは自分が
優れた小説を書けるから講義できるという
内容ではないでしょう。
もちろん、氏は小説で高い評価を
得ている方ですが
小説を紹介する導き手としての
力がとんでもなく高いのだなあと
感じ入った次第。
(DJ KAZURU)
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