絲山秋子 著
「ばかもの」 拝読。
2000年代の小説として
非常にしっくりくる。
さらりとしているけれど
引力ある文章で
すてきでした。
冒頭
19歳の若い男と
27歳の女性という
カップルの、平凡な
やりとりで始まる。
けれど
女はひそかに
他の男と結婚話を
進めており、男は
とんでもないフラれ方をしてしまう。
転げ落ちるように
アルコール中毒患者となった男は
人生の辛酸を味わうが
30歳でようやく
肉体的にも精神的にも立ち直ろうとし
かつての年上の恋人と再会する・・・
のですが
この恋人が不慮の事故で
片腕を失っており
時の流れというものを
猛烈に見せつけられるわけです。
この
二人の再会を巡る
終盤部分が実に素晴らしかった。
最近
ラインの文章かい? と
思うくらいめちゃくちゃな文体を
披露されている作家さんも多いですが
同時代に素晴らしい作家がいるよ、と
思うと
何だかほっといたします。
(DJ KAZURU)
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