皆川博子 著
「妖恋」 拝読。
江戸時代を舞台にした
幻想小説集。
時代物というと
すぐに思い浮かぶ「人情噺」では
ありません。
この世とあの世の境も
曖昧な中で
ふっと、見せられる人間の
こわさ、かなしさが
どの作品にも漂い・・・
耽美調とは違うのだけれど
濃密な文章が美しく際立ち
他にはない世界観に
引き込まれます。
作中にあらわれる
人形浄瑠璃についても
江戸の火消しについても
この小説を書くために
勉強したのではなく
そもそも
江戸文化に詳しい方が書いたのだろうな
と、
いう感じで、筋立ての
緻密さが心地よい。
なんという見識
なんという感性。
1930年代生まれの著者は
どうやら
40歳代になって作家のキャリアを
確立させたらしいのでうすが
今、現在も
作品が着々と出版されているようで
頼もしすぎます。
(DJ KAZURU)
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