林真理子著
「大原御幸」 拝読
京都の帯職人の
娘に生まれた女性が
「素晴らしかった父」
を回顧するものがたり。
実在のモデルが
ありそうなかんじ。
きものや帯には
ファッションの美しさだけではなく
日本の文化、四季のうつろい
そして歴史がぐっとつまった
芸術なんだな、と
いうことがわかります。
けれど
所詮は日常で
身に着ける者だけに
「芸術」とは
認められにくいのね・・・
それに抗うかのように
能装束や、相撲の行司の
衣装に心血を注いでいく
職人のさまは
圧巻でした。
帯職人として
名を上げるいっぽう
京都の花街で激しく
遊びまくる、そして
2号、3号を囲い
正月には
本妻と、妾と、その
子供たちも総出で
祝いの席に着く、という
「華麗なる一族」も顔負けの
描写もありますが
先日こちらでも紹介した
「おそめ」さんの
人生にも
重なるところあります。
日本も昭和40年
くらいまでは
2号さんのことを
本妻さんが、家族の一員のように
細やかに面倒見る、みたいな
ことがあったんですよね。
林真理子氏
ご自身も、きものには
造形深いようだから
この題材を扱うには
ぴったりの作者。
ところで
林真理子氏は
最近、作家の訃報に際して
とても愛のある同業者(後輩)としての
コメントを出されることが多くて
現在、80歳以上の作家を
きちんと評価できる
読み手であり、同時に
作家であるという
存在なんだな、と感じることがあります。
昨年の渡辺淳一氏のことも
性愛を扱った小説大家という感じで
マスコミが報道する中
伝記ものや歴史ものをきちんと書いたことを
強調されていましたし、先日の
宮尾登美子氏については
「一冊につき十数回は読んでいる」
と仰っていただけあり
真心のあるコメントを
テレビや新聞で拝見して
しみいった次第。
(DJ KAZURU)
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