2002
VICL-60955
1マンボ・イタリアーノ / 雪村 いづみ
2そろばんチャチャチャ / トニー 谷
3バナナ・ボート / 浜村 美智子
4フラ・フープ・ソング / 水谷 良重
5東京ドドンパ娘 / 渡辺 マリ
6スク・スク・スキ / 竹越 ひろ子
7パチャンガ東京 / 木田 ヨシ子
8ツイスト U. S. A. / 清原 タケシ
9五匹の仔豚とチャールストン / 安村 昌子
10東京ボッサノバ娘 / 谷 ヒデコ
11タムレ第1番 / 小野 ヒロ子
12東京タムレ / 渚 エリ
13太陽の彼方に / 田川 譲二/アストロノウツ
14 ためいきサーフィン / 伊藤 アイコ
15目をつむってモンキーダンス / 平尾 昌章
16ホットロッド・パーティー / ザ・スペイスメン
17マイ・ボーイ・ロリポップ / 中尾 ミエ
18あの娘と僕(スイム・スイム・スイム) / 橋 幸夫
19ネエ、君、君 / 橋 幸夫
20GO! GO! レンタカー / 田辺 靖雄/中尾 ミエ
21アイビー東京 / 三田 明
22恋のアメリアッチ / 三田 明
23恋のメキシカン・ロック / 橋 幸夫
日本の歌謡界に、ラテン音楽が上陸した時代を
一気に振り返ることが出来る
ユーモアたっぷりのコンピレーション。
解説によると
1950-60年代にかけて、日本のレコード業界は
毎年のように世界中のいたるところから
流行しそうな音楽を見つけてきては
人気歌手を起用して
”今年のニューリズムはこれだ!” という
キャンペーン商法を行っていたらしいです。
キューバのリズムも
そのかっこうの対象だったのでしょう。
ですから
もともと、ラテン音楽がそんなにも
日本の音楽界と密だったかと言えば
そういったことでもありません。
ジャンルのひとつとして
次々にラテンのリズムを歌謡界に
カンフル剤のごとく
投入していったに過ぎないようです。
で、
はるか遠くの国から輸入してきたリズムを
日本でイメージを膨らませた結果
こんなにも愉快な日本独自の音楽となったのですね。
異国情緒たっぷりで
ゆったり、ほがらかな、和製ラテン・ミュージックの
誕生です(インドに日本風のカレーは
ありませんが、日本で言うところの”カレーライス”が
本格的かどうかは別として
非常においしい、というのと似たような現象に思えます)。
この時期は、すなわち昭和30年代の
”歌謡曲黄金時代”になるわけですが、その
ニューリズム。
歌謡曲とはいえ
これがラテン好きを自認する日本人であれば
見過ごすことの出来ない曲ばかり。
「そろばんマンボ」は言うに及ばず、
「マンボ・イタリアーノ」の、こっけいなまでの
日本語歌詞。
曲調にもぴったりで
当時の日本のミュージック・シーンの豊かさを
象徴するような「ラテン調」の曲が目白押しです。
—
日本が誇る美意識のカリスマ
美輪明宏さまは、常々「近年の日本の流行歌は
歌い手の発音がめちゃくちゃで、何を歌っているのか
さっぱりわからない。
基本もなにもなっちゃいない人達が叫んでいるようなもの」
と
嘆いておられますが
当コンピレーションの歌い手達はきっちりとした
発音、かつての美しかった日本の歌の美しさを
持ちながら、日本語の楽しさ、遊び心を巧みに使う
したたかさを持っています。
現在のように、海外の文化を知りたければ
ラテン圏であろうと、どこへでも気軽に
学びに行くことが出来る時代ではなかったことでしょう。
だからどの曲も、現在の
私たちにとっては「ラテンもどき」で、
中には完全な勘違いと言う他ないものもあります。
ただ、比べてみると
「現地そっくり」な音楽を
演奏することが可能になった今の方が
物事が矮小化する方向にあるように、なぜか
感じてしまうのです。
「黄金のニューリズム」
この時代には多大なイマジネーションがあり、
やみくもなラテン音楽の猿真似に留まらない
豊かさがあるのです。
また、それぞれの歌手の声の美しさ、表現の
大胆さ、そして細やかさにも
感じ入るものがあります。
そして
なにげに、安井かずみ、谷川俊太郎といった
作詞陣のセンスにも注目すべきでしょう。
日本は
こうした形態でラテン音楽を
手中に収め「遊んでしまった」時期があったのです。
このセンスを当時の日本人の多くは支持したわけですから
まったく日本も捨てたものじゃないな、なかなか
いい国民性だったものだな、と思うわけです。
当時
ビクターは♯2の販促運動として
全国的にチャ・チャ・チャのダンス講習会を
開いたというのですから
恐れ入るではありませんか!
(DJ KAZURU ★ 2006/04/17)
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